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【法律講座】相続法改正~遺言制度に関する見直し~ その①

2019.10.09

土地活用コラム

約40年ぶりに改正された相続法ですが、まず始めに、遺言制度に関する見直しとして、「自筆証書遺言の方式緩和」と新設された「遺言書の保管制度」についてご紹介します。

【1】自筆証書遺言の方式緩和
これまで、自筆証書遺言(公証役場で作成する公正証書遺言と異なり、遺言者が自分で作成するタイプの遺言書)は、その全文、日付及び氏名をすべて自書(手書き)しなければならず、代筆やパソコンによる作成は認められていませんでした。
しかしながら、遺言書の作成を考える高齢者にとって、遺言書本文から財産目録までの全てを自書しなければならないのは大変であり、また苦労して自書したとしても、誤記があった場合にはその厳格な加除訂正の方式とあいまって、せっかく作成した遺言書が方式不備のため無効になりかねないといった問題点も指摘されていました。
そこで、この度の改正では、自筆証書遺言のうち財産目録として添付する書面については、自書によらない方式でも作成できるようになりました(民法968条2項)。つまり、遺言書本文に添付する財産目録については、代筆やパソコンによる作成、または不動産登記薄謄本や預金通帳の写しを添付するといった方法で作成できるようになったのです。
ただし、注意しなければならない点もあります。それは、

①各ページに遺言者が署名押印しなければならないこと
(両面印刷の場合は、裏表両方に署名押印が必要)

②自書によらない方法での作成が認められるのはあくまで財産目録だけであって、遺言書本文に関してはこれまで通り全文自書する必要があること
以上の2点です。

ちなみに、本文と財産目録の一体性を確保するための契印や、全てのページに同一の印で捺印することは不要です。この改正は平成31年1月13日から施行されており、同日以降に作成する自筆証書遺言には、パソコン等で作成した財産目録を添付してもよいということになります。


「遺言書の保管制度」については次回ご紹介します。


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弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
代表弁護士 田中 智美氏


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