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土地活用コラム【家族信託の使い方】~第1回:家族信託とは?②~

2021.06.02

土地活用コラム

【2】家族信託の仕組みの概要

 家族信託とは、とても簡単に言うと『元気なうちに信頼できる家族に財産の管理を任せる仕組み』です。まず信託の登場人物ですが主に次の3人です。
●委託者 - 財産の所有者であり、財産を受託者に預ける人
●受託者 - 財産を預かって、受益者のために管理・運用・処分を行う人
●受益者 - 信託財産から、家賃収入などの経済的利益を受け取る人
 委託者は受託者に自分の財産を信託し、受託者は、今後受益者のために財産を管理していくことになります。家族信託では、通常、親が委託者兼受益者、子が受託者となります。
 家族信託を行うと、不動産のご名義は受託者である子に変わります。名義が変わったからといって子が自分の財産として親御さんの財産を使えるのではなく、あくまで、親御さんのために財産の管理・運用・処分をしていくことになります。
 家族信託を行う場合は、委託者と受託者が信託契約を締結します。家族信託は、家族間といってもあくまで「契約」ですので、契約当事者となる親子が契約の目的・内容を理解していないと締結することができません。親御さんの認知症が進んでから慌てて対策しようとする方もいらっしゃいますが、認知症により判断能力が低下していた場合、家族信託を実行することはできませんので注意が必要です。
 また、信託は財産管理のみではなく相続時の財産承継方法についても定めることができます。例えば『自分が亡くなった後は財産を全部妻に、妻が亡くなった後は、自宅は長男に、アパートは次男に、預貯金は長女に渡したい』という想い実現したい場会、どのような方法が考えられるでしょうか?
 財産の承継方法をあらかじめ決めておくツールとして、オーソドックスなものは遺言です。ただし、遺言で指定できるのは『自分から直接財産を引き継ぐ人まで』です。遺言では上記のような引継ぎ方法を叶えることができませんので、注意が必要です。
 先ほどの事例に当てはめると、妻に全財産を渡すところまでは、実現できたとしても、その後のことは、妻が遺言を書かない限り実現されません。結果として、妻の相続人全員で遺産分割協議を行い、財産の分け方を決めることになります。
 そうすると、自分が最初に考えていた財産の渡し方が実現できない可能性があります。自分の想いを理解していた相続人とそうでない相続人との間で、意見の食い違いが生じ、いわゆる争族に発展してしまうこともあります。
 家族信託を活用した財産の承継であれば、『自分から直接引き継ぐ人、から引き継ぐ人』も決めておくことが可能なので、先ほどの事例のような承継が実現可能になるのです。


次回「家族信託とは?③」では家族信託を使って解決できる認知症の問題をお伝えします。
ぜひご覧ください。

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司法書士法人 みつ葉グループ
統括マネージャー 上内紀裕 氏
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